【感想】2018年8月号すばるW紀行文 中国・貴州を読んで

スターフェリーの写真レビュー

ツイッターで貴州の紀行文がおもしろいというツイートを見て、どうしても読みたくなってそれだけのために2018年8月号すばるを買いました。表紙に大きくドストエフスキー再考と書いてあり、紀行文以外は読まないのに950円も出すのは悩みました。このブログを始めてから時々旅のことを書きました。そのせいで、色々あって今は旅なんていけるような状況ではないと無意識に抑えていた旅への気持ちが出てきてしまいました。文章でもいいから旅したいのです。

集英社すばる2018年8月号

W紀行文 中国・貴州

貴州二十四葉 管啓次郎

香港のお粥の写真

詩人で大学教授の管啓次郎氏は、デザイナーの新居幸治氏に誘われて中国貴州のミャオ族を訪ねます。両氏とも私は全く存じ上げません。ミャオ族の村の描写も興味深いのですが、一番旅心を掻き立てられたのが、お祭りの屋台で食べた豚肉のオニギラズです。炭火で焼かれた手のひらほどある豚の三枚肉を2種類のもち米と高菜漬けのような漬物で挟んだオニギラズは、今すぐ飛んで行って食べてみたい。絶対においしい。

調べてみると、貴州は辛い食べ物で有名だそうです。私、辛い物が苦手というか食べられないのでそこが心配。などと、すっかり行く気になってしまいました。そんなそそられる紀行文です。

国と国の際で 温又柔

スターフェリー乗り場の扇風機の写真

芥川賞候補にも選ばれたことがある作家の温又柔氏は、台湾国籍で3歳から日本に在住だそうです。台湾国籍の日本在住者だと中国本土に行くのは少しややこしくて、中華民国(台湾)のパスポート、日本の在留カード、台湾居民来往大陸通行証(台胞証)の3つが必要だそうです。

温氏は、自分は中華民国の国民で日本国の永住者で中華人民共和国から見ると台湾居民だと書きます。たぶん、どこにも属していない疎外感をずっと抱いて生きてきたんだと思います。

私は、「ここではないどこか。疎外感を抱いて生きる人」にとても惹かれます。私自身は日本生まれの日本人です。温氏と同じような疎外感がわかるというと怒られてしまうでしょう。

温氏は中国でミャオ族という少数民族に会い、中国語も話さない中国人がいることで軽いショックを受けます。中国で中国語を使わずに生きられるんだと

中国人と一括りにして言うとき、漢語(普通語)を話す漢民族を思い浮かべます。でも中国にはいろんな民族が住んでいて圧倒的多数の漢民族にたいして少数です。マジョリティに押しやられている可愛そうなマイノリティという枠に収まらず、ここに出てくるミャオ族は、少数民族の生活を観光向けにアレンジし生きる逞しさがあります。外部の者が期待する素朴でピュアな自然と生きるなんて蹴散らしてくれます。温氏は最後に会ったきれいな発音でお金をせびる老婆の言葉が頭から離れません。数年前までは中国語であいさつさえもできなかった人が観光化で漢民族が押し寄せたらきれいな中国語でお金をせびることができるようになるー。

温氏は、この旅で自分を別の角度から見直せるようになったと書きます。日本語で生きている漢民族と自分を定義してみようと。

まとめ

管啓次郎氏の紀行文は、アルバムを見ながらわいわい話しを聞くような感じです。温又柔氏の紀行文は、その人の中に入って一緒に旅しているような感じがしました。買ってよかったです。貴州の旅が950円で出来ました。いつか絶対に行くぞ!

ムラカミ
ムラカミ

ミャオ族に個人旅行でも会いに行けるのかな???